酸蝕症(さんしょくしょう)とは
酸蝕症
酸蝕症ってなに?
酸性が強い飲食物や、胃酸が原因で歯が溶けてしまう現症のことをいいます。年齢に関係なく、全世代が関与する歯の疾患で、4人に1人は酸蝕症といわれています。
虫歯とまちがわれやすい酸蝕症
- 虫歯
- プラーク細菌によって歯の一部分に穴があく。
- 酸蝕歯
- 細菌の関与がない。歯面全体が溶ける。
酸蝕症は気づきにくい!
酸蝕歯の見ためは、
- 角がとれて丸みを帯びる
- 平滑、すべすべしていてツヤがある
- 色、光沢がぼんやりしている
少しずつ歯が溶けていくため、痛みがない。進行すると、しみるなど症状が突然現れます。
酸蝕症の原因
- 内因性
- 逆流性食道炎など胃酸によるもの
- 外因性
- 飲食物(酸性が強いもの)によるもの
ちびちび飲みなど、歯と酸がふれる時間が長いと進行する
酸性のものを摂取する「量」ではなく、「頻度」が多いほど酸蝕歯になりやすい!
予防策
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歯に負担をかけすぎない
→ちびちび飲み、だらだら食べをやめる。レモンなどを前歯ばかりでかじらない、など -
口の中の浄化、酸の中和の向上
→運動中のスポーツドリンクを水やお茶にする。スポーツドリンクを飲んだ後は水でゆすぐ。 -
酸に触れた後は最低でも3分あけてハミガキ
→酸に触れたすぐに歯みがきすると、ハブラシ摩耗が起こる。(3分間のあいだで唾液による口の中の中和が起こる)
<参考文献>
- 知る・診る・対応する 酸蝕症
著:北迫勇一・岩切勝彦(クインテッセンス出版)- 飲食物で歯が溶ける?!酸蝕から歯を守ろう!
監修:田上順次 著:北迫勇一(クインテッセンス出版)
ドライマウスの正体と対応
近年、ドライマウスは滑舌の悪さ、食べこぼし、食事中のむせなどとともに加齢によって生じやすい「オーラルフレイル」といわれる状態の一症状として注目されています。「オーラルフレイル」とは、病気や明らかな機能障害ではなく、“ちょっとした困りごと”を感じて生活している誰にでも生じうる状態です。
このオーラルフレイルは、口腔機能のアンバランスを生むだけでなく、「うまく話せないから外出を控える」「食べにくいものは食べない」といった本来希望する生活に支障をきたすため、生活の質(QOL)に大きく影響します。
ドライマウスとは、口が乾いた感じや乾燥している状態や症状全般を指します。
代表的な症状として
- 舌や粘膜の痛み ・唾液のネバネバ感
- 粘膜の発赤ややけどのような熱さ(灼熱感)
- 感覚過敏や味覚異常
- 適合良合な補綴装置に対する義歯不適合の訴えや、繰り返す歯冠形態修正、急激な多発う蝕など
症状が進むと、口腔内の症状だけにとどまらず食欲不振、食べにくさや飲み込みにくさ、話しにくさなど口腔機能に関与した症状の訴えなどがあります。
「口のかわき」の原因
「口のかわき」には「乾き」と「渇き」があります。
水を飲んで「かわき」が解決する状態は、体が脱水状態で水を欲している状況と考えることは簡単だと思います。脳の視床下部にある口渇中枢が脱水による電解質のアンバランスに気づき「喉が渇いている(口渇)」と自覚させて、水を飲むように指令を出した結果です。この時に感じる「喉の渇き」には、塩分等の電解質とともに水分の補給が必要になります。
「口の乾き」の原因とは
口腔粘膜に乾燥所見がなく、口腔内診査時の口腔内は唾液で潤っていて、場合によっては、よだれが出るほど口腔内に唾液があふれていることもあるのに「乾く」と訴えてくる方は、口の中が乾いていると思い込んでいる心因性のドライマウスと捉えるべきなのでしょうか?
答えはNoです。このような訴えの多くは舌の大きさや位置の変化による唾液の分布異常が原因です。
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下の浮腫み
舌がむくむことによって舌が口腔底に蓋をして、唾液の舌背部への流れを遮断して、舌や口の乾燥を感じるようになります。
舌のむくみの原因の1つとして水の過剰摂取があります。 -
猫背(円背)や肩こり
舌が前方へ移動するため下の縁と歯が強くあたり、舌に歯型がつく、すると舌の浮腫みと同様に唾液が遮断されて乾燥感を引き起こします。
対処法
- 舌浮腫に対しては過剰な飲水を控える、食事をしっかりとっている方は1日1ℓ~1.5ℓのどが渇いたら飲む
- 円背や肩こりには正しい姿勢の改善
- 肩をあたためる 頭頸部周囲筋の緊張をとる
強い口腔内違和感や痛みをともなう口腔粘膜の乾燥
このような症状のもっとも頻度が多い原因が、口腔粘膜の萎縮による保湿力の低下です。
通常は、ブツブツした舌乳頭が、粘膜上に唾液を保持(保湿)しています。しかし、舌乳頭が萎縮するとブツブツがなくなり、唾液を保持できる表面積が小さくなり、必要な唾液を保持できなくなります。
このような状態では、唾液による粘膜保護作用がなくなり、歯や食物が粘膜にあたると微小な擦過傷を生じて痛みを訴えるようになります。
対処法
栄養バランスのとれた食事内容の改善や漢方薬の処方対症療法として口腔粘膜全体を口腔保湿剤や人工唾液などを応用して痛みをとる。
口腔保湿剤は、使用目的によって液状からジェル状と剤型が異なります。
- 液状
- 粘膜へ直接的に水分を与える与湿
- ジェル状
- 粘膜上は粘膜上の水分を閉じ込めて蒸発防止
化粧品で考えると、前者が化粧水、後者が乳液といった感じです。