顎関節症について
顎関節は耳の穴の1cmほど前方にあります。耳の穴に小指の先を入れたまま、口を開けたり閉めたりすると、小指の先に顎の関節が動くのを感じることができます。
顎関節は上顎骨と下顎頭とその間にある軟骨(関節円盤)を関節包という靭帯で覆われています。
顎を動かすときには通常は関節円盤が滑らかに変形します。何らかの原因により、動きが制限されることにより症状が発現します。
顎関節症の主な原因
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 悪い歯並び、噛み合わせ
- ストレス
- 外傷
など
顎関節症の症状
- あご周辺の筋肉痛
- 偏頭痛や肩こり
- 顔のゆがみ
- あごが痛くて口が開かない
- 口を開けると急にコキッと音がして耳あたりまでいたくなる
顎関節症の状態
1.「カクカク」というクリック音が鳴る状態
関節内の関節円盤がずれる(スムーズに変形しない)ことにより起こる
2.関節のずれがもっと大きくなって口が大きく開けられなくなる状態
無理に大きく開けようとしたり、噛もうとしたときに痛みが生じます。
3.顎関節には問題が無い
下顎を動かす筋肉がうまく働かずに、口を開けようとするときにこめかみや頬の筋肉が痛くなる状態
4.関節を作っている骨が変形している状態
顎関節症の診断
1.顎関節を構成している
上顎骨や下顎頭に変形などの異常がないか顎関節規格X線を撮影します。開口と閉口の2枚のレントゲンを比較することで、下顎頭の関節窩内の位置関係や前方にスムーズに移動して変位していないかを調べます。(健康保険適応)
2.咀嚼筋圧痛テスト
咀嚼筋(咬筋、側頭筋、胸鎖乳突筋)などを触診することにより筋肉痛の有無、左右のアンバサダー差などを確認します。
顎関節症の治療
1.薬物療法
消炎鎮痛剤を1週間から2週間内服してもらいます。炎症がある場合はこれで治るときもあります。
2.スプリントの装着
歯型を取ってマウスピースを作成します。装着すると少し口が開いたままになるので、顎関節が引っかかることが少なくなり、顎がスムーズに動くようになります。
3.D-Function(歯科用両側性筋電気刺激装置)
咀嚼筋障害に有効な「理学療法」のなかの電気刺激療法
目的
生体に物理的刺激あるいは運動刺激を加えることにより顎関節や咀嚼筋などの疼痛緩和や機能障害の改善を図ること
作用機序
ゲートコントロール理論
電気刺激によって侵害刺激を伝えるゲートをコントロールして疼痛を軽減させるものです。たとえば、転んだときに皮膚をさすりながら「痛いの痛いの飛んでいけー」とおまじないをかけたことはありませんか?これは、触覚を刺激することで痛みの伝導を抑制しているのです。おもに即効性のある疼痛軽減効果と考えられています。
内因性オピオイド放出
治療後の持続性の疼痛軽減効果があると考えられています
下行性疼痛抑制機構
具体的には痛みのある側の顎関節に2か所パッドを装着し電気を流します。電気の強さをぎりぎり我慢できる強さから少し下げると効果が高いでしょう。逆側の手首にもパッドを装着しこちらは電気を感じないくらいの微弱電流を流すことで筋肉のリラックス効果があるので、睡眠の質が上がるようです。治療時間は20分です。数回にわたっておこなうこともできます。
治療終了前に口を開けると痛かった患者様が治療後に痛くなく口が開きます、とおっしゃっていただきました。
健康保険適用です。
ちなみにこの会社は医科(整形外科)の分野にも電気刺激装置(医科用)を販売しており使用されています。オリンピックの選手にも使用されているようです。