インプラント治療では、人工歯根を埋め込む際に「サージカルガイド」と呼ばれる装置を使用することがあります。これは一般的な歯科治療ではあまり使用されないため、聞き慣れない方も多いでしょう。サージカルガイドの概要、使用理由、メリットについて詳しく解説します。
サージカルガイドは、インプラント手術で使われるマウスピースのような形の装置です。これにより、人工歯根を安全かつ正確に埋め込むことができます。サージカルガイドには、人工歯根を埋め込む位置、角度、深さが事前に設定されており、手術当日はそのガイドに従って専用のドリルで埋入を行います。
この装置は、精密な検査や診断、治療計画に基づいて作製されるため、簡単に作れるものではありません。しかし、インプラント治療の質を大きく向上させるため非常に有用です。
様々なメーカーのサージカルガイドを見てきましたが、「口腔内にしっかりフィットするか」「ガイド孔が設計通りか」「設計通りに埋入できるか」といった不安がありました。現在使用しているサージカルガイドは、これらの不安を解消してくれます。経験や技術が豊富でも、それを補完するものとしてサージカルガイドは欠かせません。
以下では、歯ぎしり・食いしばりの原因やその弊害、そしてサージカルガイドによる改善方法について詳しく解説します。
下顎のインプラント埋入時には、下顎管と呼ばれる重要な神経と血管が通る空洞を損傷しないようにする必要があります。下歯槽神経を傷つけると、術後に唇周囲の麻痺が残る可能性があり、下歯槽動脈を傷つけた場合には、術中に大量出血を引き起こすことがあります。サージカルガイドを使用すれば、下顎管に触れないように埋入できるため、これらのトラブルを未然に防ぐことが可能です。
サージカルガイドの利用により、安全で精密なインプラント治療が実現できます。これにより、患者さんにとっても術者にとっても大きなメリットとなります。
上顎にインプラントを埋め込む際には、人工歯根が上顎洞(じょうがくどう)という空間に突き出ないよう注意が必要です。もし人工歯根が上顎洞に突き出ると、上顎洞炎などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。また、インプラント手術自体が失敗してしまうリスクも高まります。そのため、サージカルガイドを用いて上顎洞への突き出しを防ぐことは非常に重要です。
通常のインプラント手術では、視野を確保するために歯ぐきを広く切開する必要があります。しかし、サージカルガイドを使用することで、その必要がなくなります。歯ぐきに小さな穴を開けるだけで済むため、術後の腫れや痛みを最小限に抑えられます。こうした歯ぐきを切らないフラップレス手術は、傷の治りも早めます。
人工歯根を埋め込む位置や角度、深さは、安全性だけでなく、機能性や審美性にも大きく影響します。前歯部の場合、特に審美性が重要となりますが、サージカルガイドを使用することで、インプラント埋入手術時に埋入の深さと方向を正確におこなうことができます。サージカルガイドを使用しないインプラント手術は、歯科医師の経験や技術に大きく依存するため、インプラントの傾斜や方向が想定していた位置とズレを生じた場合に 良好な治療結果を得るのが難しい場合があります。
前歯にインプラントをおこなった場合に一般的に3年後に2ミリの唇側の骨の吸収が起こり、審美性に影響をおよぼす場合があります。そのため当院では事前に診査をおこない大多数の方にインプラント埋入前後に骨増大手術をおすすめしております。
サージカルガイドを作製する際には、歯科用CTの活用が不可欠です。レントゲン撮影では2次元の情報しか得られませんが、CT撮影では3次元の情報が得られます。サージカルガイドは3次元的に人工歯根をガイドする装置であるため、歯科用CTによる撮影は欠かせません。
インプラント治療においても、歯科用CTによる精密検査は必須です。経験豊富な歯科医師であれば、CT検査を必要としない場合もありますが、それは稀なケースです。インプラント治療は、顎の骨にチタン製のネジを埋め込む手術であるため、精密な検査を行うことが望まれます。サージカルガイドを使用することで、手術中のトラブルを回避し、美しい人工歯を手に入れることができます。
このように、インプラント治療でサージカルガイドを使用することは、手術に伴うリスクを最小限に抑え、理想的な人工歯を実現するために非常に有効です。治療費はやや高くなるかもしれませんが、その価値は十分にあります。当院では、サージカルガイドと歯科用CTによる精密診断を提供しています。精密なインプラント治療をお望みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。